スイスフラン無制限介入 2011年9月9日
いっこうに止まる気配のないスイスフラン高に痺れを切らし、スイス国立銀行は禁じ手ともいえる手段に打って出た。
9月6日、スイスフランの対ユーロレートの下限を1ユーロ=1.20スイスフランに設定すると発表し、この水準を守るために無制限に外貨を購入する、つまりスイスフランを売る用意があると表明した。
売ったスイスフランが市中に出回り、マネーが膨張すればインフレを招くリスクがある。
発表を受け6日のスイスフランの対ユーロレートは9%強も下落した。スイスフランと並ぶマネーのリスク回避先である円もスイスフラン安につられるかたちで、対ドルで76円台から77円台へと下落した。
超円高に苦しむ日本にとって、スイス国立銀行の捨て身の無制限介入は一見朗報のように思える。しかし、実態は真逆になりそうだ。
スイス国立銀行が無制限介入に踏み切ることで、日本が単独円売り介入に踏み切りやすくなるとの見方が出ているが、現実には「介入に対する他の先進国の理解を得るのは難しい」(野地慎・SMBC日興証券シニア債券為替ストラテジスト)と思われる。8月4日の日本の単独円売り介入後のG7(先進国財務相・中央銀行総裁会議)の声明には、「市場において決定される為替レートをわれわれが支持することを再確認した」との表現がある。
このスタンスは当面、変わらないだろう。
日本が介入に踏み切れず、無制限介入でスイスフランのレートがほぼ固定されることになれば、投資家のリスク回避の動きに乗じて為替売買益を狙う投機筋の資金が円に向かう可能性は低くない。
また、欧米の現状を見る限り、投資家がリスク回避姿勢を緩める材料は乏しい。欧州では、9月2日にギリシャへの第1次支援の融資の第6弾を実施するに当たって、EU(欧州連合)など三者による協議が中断された。
スイスフランテクニカル分析
スイスフラン対円 東京金融取引所為替証拠金取引
9月12日 始値87.31 高値87.80 安値86.12 終値87.66 (前日比 -0.03)
出来高14,879 建玉11,143 (前日比 -1,378)
ピボット指数 4週ボリンジャーバンド (前日比)
HBOP 89.95 +2σ 101.59 累積出来高VA 12,399 (+0,648)
S2 88.87 +σ 98.13 10日変化率ROC 93.73 (+0.64)
S1 88.27 -σ 91.22 究極オシレーター 28.36 (+0.76)
B1 86.59 -2σ 87.76
B2 85.51
LBOP 84.91
一目均衡表 基準線 97.47 転換線 92.76
先行スパン1 99.92 先行スパン2 98.89